「……盗まれた?」


誰かが繰り返した言葉に沢井さんは力なく頷き、そして言った。


「自分のせいです。申し訳ありません!」


腰が折れそうなほど深く頭を下げた沢井さんの隣に鈴木さんが立つ。


「何があったのか言ってくれ」


ガックリと肩を落とした沢井さんだったが、彼の肩に手を置き問いかけた鈴木さんの顔をゆっくりと見上げ、やがて観念したように説明を始めた。



***


「なんだよ、それ」
「どういうことだよ!?」


話を聞き終えたその瞬間、怒声まじりの言葉が飛び交った


ただ事ではないことぐらい、部屋に入ってきた沢井さんの様子を見て感じていた。

だけど……。


「あいつらのとこに行ってくる」
「そうだ、どういうことなのか聞いて来るぞ!」


次々と立ち上がり、部屋を出て行く先輩達。


当然、思いもしなかったんだ。

まさか、違うテーマに取り組んでいると思っていたもう一方のチームが、僕らとまったく同じ企画を進めていたなんて。