「体調でも悪いんですか?」
訊ねた僕を苦笑いで振り返った鈴木さんは、トレードマークでもあるモジャモジャ頭を掻きながら答えた。
「ん? あー、近頃ちょっと家庭料理に酷使されてるからな」
……酷使──?
とさらに首を傾げた僕だけど、その意味をすぐに理解して聞き返した。
「それってリンさんの手料理のことですか?」
すると飲みかけの水を吹き出しかけた鈴木さんが、濃い眉毛をしかめて言った。
「お前も可愛い顔してハッキリ言う奴だなー」
でも以前、一回り下の新妻の手料理がキツいと会社でこぼしていたのは鈴木さん自身だ。
と内心思っていたら「まっ、図星だけどな」と付け足された。



