カサ…。 ポケットに入れた右手に、紙が触れた。 苺は紙を左手に持ち替え、右手でポケットの中の紙を出した。 紙切れは二枚だ。 苺は左手にある紙を広げた。 【苺へ 俺と母さんにもしものことがあったら俺の知り合いの家の養子になること。 場所は◯◯市△丁8-3-5で、金森という人だ。 父さんより】 苺は書斎を出た。 自室に駆け戻り、キャリーバッグを取り出した。服や学校の用意を全て詰め込む。 紹介状を握りしめ、目指すは金森家だ。