嬉しい。

 単純にそう感じる。


 だが、苺は素直に喜べなかった。


――むしろ憂鬱。


 龍二の言葉が胸に引っかかる。


「ごめん、無理」


 苺は小さな声で言った。


「え?」


 昨日感じた不満を、吐き出すのは嫌だった。

 別れよう。龍二にそう言われそうで怖いのだ。


「な、何か風邪引いたみたいで…ごほっ」