怒涛の試験週間が終わると、僕らは大学から解放された。
大学生の夏休みは無駄に長い。


真優との一件があって、僕はバイト先の書店を辞めた。
真優とはあれから一度も会っていない。

僕が辞めるまでに何度かシフトがかぶることがあったけれど、真優はなにかと理由をつけてシフトを代わってもらっていた。
僕は顔を合わせずに済んだことにホッとしつつも、やはり申し訳ない気持ちで胸が痛んだ。


今になってみれば、僕は本当に最低だった。
真優が好意をもってくれたことを利用し、それとなく付き合っていただけなのだから。

春になったことだし、恋でもしてみようか。
そんな気軽な気持ちで真優を受け入れたのだ。

けれどそんな浅はかな感情はいつまでも続かない。
小夜子への気持ちに気づいた時から、すでに真優への愛情はなくなっていた。
そして、それを知りつつも真優を振り回し、傷つけた。

「最低」


真優とはあれっきりだった。