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憂鬱な梅雨が明けた。

真っ青な空には入道雲が浮かび、太陽の光が肌をじりじりと焦がす。
蝉はその短い命に構うことなく、ただひたすらに鳴き続ける。

いま思えば、僕らはまるでその蝉のようだった。

いつまで鳴き続けることができるかなんて考えもせず、毎日を生きていた。
隠れていた土の中から這い上がり、地上で目一杯の光を浴びる。
どれほど大きな声で鳴いても、世界には僕たち二人だけしかいなかった。

ただひたすらに、鳴き続けることしか考えていなかったのだ。