いや、彼女が真っ昼間から夜の話をするのにはもう慣れている。

セックスなんて単語はまだいいほうだ。
彼女は早朝だろうと正午だろうとなんだろうと、もっと生々しい行為を言葉にして話すことだってよくあるのだから。

そうではなく、僕が驚いた理由。
それはあの小夜子が泣いた夜から、僕たちは一度もセックスをしていなかったからなのだ。

僕は楽しそうに笑う小夜子の顔をじっと見つめた。


「本気で言ってるの」

「もちろん。本気で言ってるわ」


夏が近づくにつれ、小夜子の格好はだんだんと露出度を増していった。
今日も長い脚を存分に露出させたショートパンツをはいている。

その脚にも長いこと触れていない。
もちろん触れることができるなら触れたいのだが。


「前のことは大丈夫なのか」

「前って、彼のこと?」

「そう」

「大丈夫よ。むしろ今は欲求不満で吐きそうなくらい。
 成長したでしょう」

「それはいいことだ」


小夜子はミルクティーを飲み干すと席を立った。
僕の目線の先に、彼女のショートパンツから伸びる太ももが現れた。

彼女はバッグを掴み、こちらを見下ろす。
僕も彼女を見上げた。


「大サービス、小夜子さま特製ディナーにもご招待してあげる。
五限終わったらうちに来て、終わったらすぐよ、いいこと?」

「はい、女王様」


女王は満足げな微笑みを残してカフェテリアを出ていった。

僕はショートパンツから伸びる脚を見つめながら、午後の講義は睡眠に徹することを決めた。