梅雨が明けようとしていた。


じっとりとした、窓を開けても外は薄暗く、気分の晴れない、そんな季節。
けれどどれだけ長く雨が降っても、必ずいつかそれは上がり、熱い熱い夏がやってくる。

恋愛も同じだ。
はっきりしない茫然とした愛は、いつか終わりを告げる。
それは僕がどうあがいたって、止めることはできないものなのだ。







「今日、うちに来たい人いる?」


大学のカフェテリアで、僕たち二人は午後のティータイムを満喫していた。

席はいつもの窓際。
僕の前にはカフェラテ、向かいに座る小夜子の前にはミルクティーが置かれていた。
ティータイムは僕らのルーティンのひとつ。
カフェインなしでは、午後の退屈な講義は乗り切れないのだ。


「なんだそれ。新手の誘い文句?」

「そう。奥手な女の子のための遠回し誘い文句」

「全然遠回しになってないけど」

「何よ、誰もうちに来たくないのかな?」


ガラス窓に雨がたたきつけられる。
確か天気予報によると、この雨は明日の朝まで続くらしい。
晴れていれば、この窓からは穏やかな昼下がりの庭園を見渡すことができるのだ。


「今なら小夜子ちゃんとのセックス無料券もつけちゃう」


僕は驚いて小夜子を見つめた。