** 夢を見た。 遠く向こうに、あの夏の彼がいる。 呆れるほど、何度も見た夢だ。 結末はわかっている。きっと今日も消えてしまうんだ。 それでも、手を伸ばした。 彼がその手をとってくれるんじゃないかと。 無駄な期待だと、知っていながら、やっぱりほんのすこし、期待して。 ――――小夜子 呼ばれた名前に答えようと、大きく、息を吸い込んだ。