「好きやねん、美雨。俺の一生かけて美雨を愛したい。たとえ此処で断られたとしても、俺は一生美雨しか愛さへんから」



その独特の音の響きは、侑士だけが持つ音域。体はもとより心の奥底まで揺れ動かすようなそんな音を持つ言葉に、頷いてはいけないと思いつつも頷いてしまった。


あたしは確かに朔也に愛されていた。
そして、親友のことが大好きだった。


結果的に2人とも裏切ってしまったあたしは必然的に親友を無くし、恋人だったはずの朔也とは「恋人の親友の鳳君」という形でしか接することが出来なくなってしまった。



高校生活を楽しくのんびりと過ごしてきたあたしには、たとえ傍に侑士がいても非難と中傷の的にされることが耐え難い苦痛で。
何を如何悪いことをしたのか自分の中で理解出来ないまま、大学卒業と同時に地元である神戸へと逃げ帰ったのだ。