「その手で…殺してくれれば良いのに。あたしの全てを壊してくれれば良いのに」






叶うことの無い願いは、空気を伝うより先に触れられ慣れた唇に吸収される。奪うように重ねられ、離れたかと思えば囁かれる言葉。






「アイシテル」






言葉の魔力とは、まさにこのことだろうか。
その声もこのどうにも遣り切れない想いも、出来ることならば記憶の中から消去してほしい。


死ぬまで縛り付けられ身動きの取れない人生を送るのならば、今この瞬間にその人生を終えてしまおう。鮮やかに、その言葉があたしの中に残っている間に。