『あなたは近くて遠いひと。

今までずっと近くで見てきたはずなのに、

気付けば姿が見つからない。

あなたは私の愛しいひと。

気付けばもう手が届かない』


さっきまで息を吸うことに必死だった肺が、突然呼吸を思い出した。

肺が酸素で満たされて、脳が、体全体が、一気に覚醒する。

吸ったなら、吐けばいい。


大きく開いた口から、音が、私が求めていた歌が、

『なにか』が、溢れ出た。