喉から飛び出たのは、歌というより音の絞りかすのようだった。 ぼうっとした頭が、ダメだと叫ぶ。 (『なにか』が足りない、これじゃない) 私が歌いたいのはこれじゃない。 そう思うと、次第に声が出なくなってしまった。