ラブソングを君に

「…すごい!このまえより数倍良くなってるわ!」

ソロコン前日。最後の練習で顧問の先生は満面の笑みを浮かべてそう言った。

「あ、ありがとうございます」

「これならきっと、いい成績がとれると思うわ」


結局先生が欲しかった『なにか』に、名前はつけなかった。

第一、言葉にしようとしても出来なかった。


メロディを口ずさむ度、浮かぶのは切ない目をした少女の姿だった。



そして、コンクール当日がやってきた。