ラブソングを君に

沈黙に耐え切れなくなったのか、音弥がばっと顔を上げてバチを直し、

「ちょ、ちょっと楽譜見せろ!!」

と言うやいなや楽譜を奪い取った。

無言でそれを見つめる。


「…これ、ラブソングだろ」

「え?そうなの?英語だから全然分かんなかった」

「お前…ああ…英語超苦手だったもんな」


そういえば、中学の時、何度も音弥に英語を教えろとせがんだ。

よくもまあ、覚えているものだ。