「お姉さんは元気?」

「あの電柱女なら元気ですよ」

「そっか」と、先生は苦笑しながら言う。

私は保健室に飾ってあるぬいぐるみのうち、一番でかい熊のぬいぐるみを後ろから抱き締めるような感じで持っていた。

もうすぐ梅雨入りしそうな雰囲気の曇天を私は見る。

雨は苦手だ。どんよりとした空気は重たいし、何よりじめじめしてるから蒸し暑くて嫌だ。

私はそんなことを考えながらぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。