「ねぇ、瑠璃ちゃんは好きな人とかいるの?」

私は恋愛経験者の瑠璃ちゃんに聞いた。瑠璃ちゃんは少し困ったような表情をしている。

口に入れていたチョコチップクッキーを飲み込むと、答え始めた。

「一応いるよ。今年卒業した先輩」

「へー……どうして好きなの?」

瑠璃ちゃんは顎に手を当てて考え始める。そして、何かを思い付いたかのような表情になると口を開いた。

「明るくって優しいからかな…?」

「そっか」と私は短く答えると、ラング・ド・シャを食べ始めた。

「昨日の事、気にしてるの?」

昨日の事とはチャットでの出来事だろう。私はラング・ド・シャを完食すると、小さく頷いた。

「恋がどんなのかは分かる?」

「不整脈の患者」

「は?」

瑠璃ちゃんは目を点にして驚いた。