チャットの貴方に恋をする


どれくらい走り続けただろう。俺は息を切らしながら、顔をあげた。

さわさわと音をたてながら揺れる木々が連なる、静かな神社が目の前に広がっていた。

「ここか…」

俺はマップと現在地を照らし合わせた。現在地を示すアイコンは目的地と重なりあっており、俺は目的地についたと確信した。

俺は石でできた階段を登り、緩い坂を上がり始める。

すると、坂の突き当たりにある境内に人影を見つけた。

薄い青のチュニックに、七分丈のジーンズ。真っ黒な髪ー雪那だ

俺は坂をかけあがり、雪那のそばに近づいた。とっさに抱き締めようと腕を伸ばしたが雪那に触れる寸前に止めた。