「花音っ、おはよ~!」


疲れた顔をした私に、いつものように愛海が駆け寄ってくる。―――いつもなら、可愛らしいと思うけれど今日の私は罪悪感でいっぱいだ。


「……おはよ、」


「昨日大丈夫だった?あの後、神楽くんも帰っちゃってさぁ……」

そう、それは―――唯一の親友の想いの人が、


千影だったから。


「あの、愛海……そのことなんだけど、」

「でね!その後ほかの子もしらけちゃって…、結局みんな神楽くん狙いだったんだよー」


彼女はどうやら私の話が耳に入っていないらしい。
きっと、彼女には私と千影の関係を伝えたほうがいい。いや、伝えなければいけないのだ。―――彼女のためにも、私のためにも。


「……で、花音はどうしたの?」


やっと言いたいことが言い終わったらしく、今度は可愛らしく首をかしげて私の言葉を待っている。彼女のそういう気さくなところが私はすきだ。


「え……あ、なんでもなかったみたい、」


―――やっぱり、言えないよ。
愛海の悲しむ顔なんて、見たくない。