「ふーん、」


彼は満足そうに笑みを浮かべた。




私は、婚約者だからと安心していたのかもしれない。

婚約者だから、ずっと―――彼が傍にいてくれるって。



「花音、」



ふいに彼が私の名前を呼んだ。



「なーに?」



「―――俺が迎えにくるまで、いいこにしててね?」



―――これが、壊れかけの時計が止まったときだった。




次の日、彼は突然
私の目の前からいなくなった。


――――――――――――――――――――・・・・



――♪


部屋にケータイの目覚ましの音が響く。


「・・っはぁ、最悪の目覚め。」



私、如月花音は今日で20歳を迎える。

そんな私の誕生日は、”あの人”が消えた日だった。



「(眠い、大学・・めんどくさいな。)」



重い腰をベッドから持ち上げて、私カレンダーに目を向けた。



―――もう、4年も経つんだ。


時計が止まった日から・・