”あの人”の夢をみた。



―――壊れかけの時計が、止まるときの日の夢。





――――――――――・・



「・・なぁ、花音。」



彼は、私の頭を撫でながら目を細める。


私はその仕草が好き。



「何?」


「その”壊れかけの時計”、いつまでつけてんの?」


「・・ずっと、よ。」



私のお父さんは無駄にお金を持っていた。


また、彼の家も一流企業を営んでいた。




両者の親が仲がいい場合、

娘と息子を婚約させることが多いことを私は知っている。




―――現に、私と千影がそうなのだから。




「好き。」なんて、言い合えない不器用な私たちだけれど

なぜか通じ合えている”気がしてた”。




「・・壊れかけ、なのに?」


「うん、だって千影がくれたものでしょう?」


私がそう答えると、