「おい?聞いてるのか、艶香?…んもぅ、じゃ、駅で待ってるから。」

そして、いつぞやのように、苛立ち始めてる瞬の声。


「…あ、ちょっと待ってよ!」

「艶香の言い分は駅で会ってから聞く。じゃな♪」

「…え、あ、ちょっ…」


また、一方的に電話を切られる・・・・。


本当は浮き足でスキップでもして駅に向かったらいいのかもしれないけど…、私はそんな浮かれた自分がなんだか恥ずかしい。

そして、そうゆう気分に慣れていないと言うのか…

久しく、『恋心』からかけ離れ、不穏な恋をしていた私は素直に心に従って行動する事に抵抗を感じていた。



あぁ…駅で瞬の顔を見た途端、顔が赤くなりませんように…。



駅に辿り着く前に足早にコンビニに入ると急いでトイレに入り、いつもはしない癖にファンデーションを入念に塗り、リップも綺麗に塗り直した。おまけに、グロスなんかも重ねてみる。


ああ、やっぱりなんか、片思いの中学生気分だ・・・・。

鏡の中の自分を見て、溜息をついた。