オリビアには直接伝えてはいないが、レイドは間違いなくオリビアのフィアンセだ。
ローレンは長男が継ぐことが決まっており、オリビアは養女だと偽って育てたため、政略結婚の役目も果たさない。
だが――このレイドという男はハルヴァニアを継ぐ前からローレンで王族会議が行われる度に王宮を出入りしてよくオリビアと話をしていた。
気さくで勝気でからからした性格のオリビアを気に入り、正統な王族でなくともどこの馬の骨かわからない出自であっても構わないと言ってくれた。
近いうちオリビアに話そうと思っていたのだが――
「では陛下、早速手筈を整えてあなたの心労を減らすべく尽力いたします。オリビアは必ず私がお捜ししますのでどうかご心配なく」
「ああ、頼んだよレイド。君には迷惑をかける」
「いえ、彼女は大切なフィアンセですから。では失礼いたします」
礼儀正しく人好きのする笑顔を持つレイド。
虎視眈々とガレリアの領土を狙っているとは思えない程やわらかい笑みを浮かべて退出したレイドを見送った後、へスターは足早に医務室へ向かってジェラールの様子を観察した。
「高熱が出てとても苦しそうなんです。でも助けてやることができなくて…」
「この男の身なり…高貴な者だろうと思うが…何故オリビアを知っているのだろうか」
「ええ、オリビアの行方を知っているのなら、気が付いたらすぐ尋ねないと」
「今はそっとしておいてやろう。アンナ、君も疲れているはずだ。ここには見張りを立てて私たちは少し休もう」
――へスターとアンナが医務室を出て行った後、ジェラールは高熱で全身汗をかきながらずっとうなされていた。
傷口は縫合されたが燃えるように熱くそして激痛が走る。
兄に…ウェルシュに命を狙われて暗殺しようと思わせるほどに自分を憎んでいたこと――
そして父と母を暗殺して王位を簒奪しようとしたこと――全て全て、ウェルシュのせいだ。
「ゆる、さ、ない……!」
生きて生きて、復讐してやる。
絶望を植え付けて、縋り付いて許しを請うても絶対許さない。
ローレンは長男が継ぐことが決まっており、オリビアは養女だと偽って育てたため、政略結婚の役目も果たさない。
だが――このレイドという男はハルヴァニアを継ぐ前からローレンで王族会議が行われる度に王宮を出入りしてよくオリビアと話をしていた。
気さくで勝気でからからした性格のオリビアを気に入り、正統な王族でなくともどこの馬の骨かわからない出自であっても構わないと言ってくれた。
近いうちオリビアに話そうと思っていたのだが――
「では陛下、早速手筈を整えてあなたの心労を減らすべく尽力いたします。オリビアは必ず私がお捜ししますのでどうかご心配なく」
「ああ、頼んだよレイド。君には迷惑をかける」
「いえ、彼女は大切なフィアンセですから。では失礼いたします」
礼儀正しく人好きのする笑顔を持つレイド。
虎視眈々とガレリアの領土を狙っているとは思えない程やわらかい笑みを浮かべて退出したレイドを見送った後、へスターは足早に医務室へ向かってジェラールの様子を観察した。
「高熱が出てとても苦しそうなんです。でも助けてやることができなくて…」
「この男の身なり…高貴な者だろうと思うが…何故オリビアを知っているのだろうか」
「ええ、オリビアの行方を知っているのなら、気が付いたらすぐ尋ねないと」
「今はそっとしておいてやろう。アンナ、君も疲れているはずだ。ここには見張りを立てて私たちは少し休もう」
――へスターとアンナが医務室を出て行った後、ジェラールは高熱で全身汗をかきながらずっとうなされていた。
傷口は縫合されたが燃えるように熱くそして激痛が走る。
兄に…ウェルシュに命を狙われて暗殺しようと思わせるほどに自分を憎んでいたこと――
そして父と母を暗殺して王位を簒奪しようとしたこと――全て全て、ウェルシュのせいだ。
「ゆる、さ、ない……!」
生きて生きて、復讐してやる。
絶望を植え付けて、縋り付いて許しを請うても絶対許さない。

