冷たいアナタの愛し方

シルバーがちゃっちゃっと爪の音を立てながらリビングに姿を見せると、まだ濡れていてほっそり見える天狼を見てガゼルが大笑いした。


「ぎゃはは!なんだよぜんっぜん威厳ねえな!お前ほんとに天狼か?」


「天狼?そういう名前なの?」


続けてオリビアが姿を見せると、ソファにふんぞり返っていたガゼルはぱっと姿勢を正してから何故そうしたのかわからずに上目遣いでオリビアを凝視した。


…文句なく可愛い。

珍しい髪と瞳の色をしているし、そこそこ身体つきもまあ…悪くない。

気を失っている時は可憐そのものだったが、今のオリビアにはどこか躍動感を感じさせる。

つい全身をじろじろ見ていると、予想もしない言葉がオリビアの口から飛び出した。


「じろじろ見ないで。変態」


「!?な…っ、なんだと!?」


「どうせ髪とか瞳の色がおかしいって言いたいんでしょ。余計なお世話よ、私は気に入ってるんだから」


つんと顔を背けてシルバーの身体を拭いてやっているオリビアに俄然わなわなしたガゼルは、もちろんオリビアに当たらないように木製の盃を投げつけた。

壁にあたるはずの盃は軌道を読んでいたシルバーに口で見事にキャッチされてしまい、オリビアを攻撃したのだと察知したシルバーが太い脚をずいっと進めて牙を見せて唸り声を上げる。


「相手にするだけ馬鹿らしいわ。シルバー、あんな男食べてもどうせ美味しくないだろうからやめておいた方がいいわ」


「ぷっ。あはははは!この娘、なかなかのもんだねえ。お人形さんみたいだと思ってたけど口の悪いこと悪いこと!」


エイダが腹を抱えて爆笑し、7年前と全く変わらない口の悪さのオリビアが懐かしくて、ルーサーも状況を忘れてつい噴き出した。


「オリビア…君は相変わらずだね。ほっとしたよ」


「なんかお腹空いちゃった。シルバーにお肉をあげたいんだけど…」


「用意してやるよ。ガゼル、地下の保存庫から取って来な」


エイダに逆らえないガゼルは、オリビアに睨みを利かせながら地下に向かう。


「ちっ、気ぃ失ってる時は可愛かったのに…」


ぶつぶつ。