冷たいアナタの愛し方

「ローレンは…ガレリアと…蛮族に襲われたんだよ…?」


「…うん。でもそれは僕と垂れ目くんの意志じゃない。うちの馬鹿な長兄が勝手に決めたことなんだ。オリビア…君は覇王剣…いや、リヴィを最近人前で出したことがあるかい?」


だんだん意識がクリアになってきたオリビアは、先日庭でシルバーにリヴィを見せてやったことを思い出した。

あの時は何の気なしだったのだが…今思うと誰に見られてもおかしくない状況だったかもしれない。

オリビアの顔がみるみる青ざめていくと、それで全てを理解したルーサーは、大きなバスタオルでシルバーの濡れた身体を拭いてやりながら小さく笑いかけた。


「それをね、ガレリアの密偵に見られたんだよ。…迂闊なことをしたね」


「じゃあ…ローレンが襲われたのは…私のせいってこと…?」


「リヴィを持つ者は世界を総べることができる、という伝説がある。創世記に書かれてあることで、今もその伝説を信じている人は多いんだよ。君は…その伝説の人だ」


またぽかんとしてしまったオリビアの可愛らしい顔に噴き出してしまったルーサーは、頬を膨らませて腕を叩いてくるオリビアの肩を抱いてこそりと囁いた。


「だからこのことは秘密に。ここは蛮族の長の家で、女性の方が前の長。若い男の方が現在蛮族を率いている長だ。リヴィのこと、秘密にできるね?」


「…うん」


「君が蛮族たちを殺したことも秘密に。彼らは仲間の結束が固い。知られてしまうと君や僕の立場も危うくなる」


「…うん」


あまり沢山のことを詰め込み過ぎるとオリビアの小さな身体が爆発してしまいそうだったので、ルーサーはちょっと待っててとオリビアに声をかけた後バスルームを出て行き、しばらくしてから2人分の着替えを持って来た。


「僕は違う部屋で着替えるからオリビアはここで着替えて。僕に全て任せて」


今頼れるのはルーサーしか居ない。

頷いたオリビアを確認してから消えて行ったルーサーを見送り、シルバーがオリビアの裸を誰にも見られないように抱き込むようにして座ると、オリビアは白いパジャマに着替えながら父たちを想った。


「お父様たち…無事でいるといいな…。私のせいで…ごめんなさい…」


何度もそう呟いて、唇を噛み締める。