冷たいアナタの愛し方

シルバーは恐らく残り一匹となった天狼だ。

つがいに恵まれずに一生を終えるしかなかった天狼が、実は人の姿になることができる――


…ということはつまり…

種族を超えて伴侶に恵まれる可能性もあるということなのか?


皆が唖然としている中、オリビアは獣の姿の時によくしているように、シルバーの両頬を引っ張って注意を向けた。


「駄目よシルバー、めっ。みんながびっくりしてるでしょ」


「僕のお嫁さん」


言い張って引かないシルバーの顔をよくよく見つめたオリビアは、無邪気で明るくて綺麗な顔立ちのシルバーの頬にちゅっとキスをして男性陣をまたそわそわさせた。


「あなた以外の天狼がきっとどこかに居るはずだから私が見つけてあげる。諦めちゃ駄目よ。ね?」


「僕のお嫁さん」


頬を膨らませてこれまた引かないシルバーの頑固さにオリビアが呆れていると、レイドが居てはゆっくり話ができないと判断したルーサーは、すっと立ち上がって皆を注目させた。


「即位式の準備があるので今日はこれで失礼します。リヴィにはまだ手伝ってもらいたいことがあるのであなたは用意した客室で寛いで下さい」


「ええそうさせてもらいましょう。リヴィ、君の部屋はどこ?後で会いに行くよ」


「えーと…私は……」


「あなたは夜間部屋から出ないように。リヴィがあなたに会いたいと思うなら部屋を訪ねるでしょう。では、失礼」


一応敵国なので、レイドもこれ以上強気に出ることができない。

参謀役のルーサーは切れ者で有名なので、一応事態を悪化させたくないレイドは仕方なく頷いてオリビアに手を振った。


「じゃあ私に会いに来てほしいな」


「ええ、時間が空いたら行くわ」


相変わらず引っ付いて離れないシルバーを引きずりながら部屋を出たオリビアは、助け船を出してくれたルーサーにこそりとお礼を言った。


「ありがとう、助かったわ。レイドは押しが強すぎて…」


「それほど君を大切に想ってるってことなんじゃないのかな」


…胸がずきんと痛んだ。

離れなければならない人を好きになってしまった後悔が襲ってきていた。