冷たいアナタの愛し方

「やだやだっ、あんなとこ見られて…どうしよう、絶対誤解されたわよね…」


城を飛び出て街へと降りたオリビアは、ドレス姿のままシルバーの背に跨って坂を下っていた。

コロシアムでの騒ぎは街中に知られており、巨大な狼とどこかのお姫様の組み合わせはとにかく目立ってあちこちから“ヴァルキリーだ”という声が聞こえる。

名声にはとんと興味のないオリビアはうんうん頭を悩ませながらあてもなく街をさ迷い、何度も心配そうに振り返るシルバーの耳を掻いてやった。


「ごめんね、もう少ししたら戻るからもうちょっと乗ってていい?」


「わん」


街の外れには公園があり、夕暮れが迫って来ていたがまだルーサーと顔を合わせる決心がついていないオリビアは森の奥へと続く小道を進んでベンチを発見すると、シルバーから降りてベンチに座った。

頭をフル回転させて疲れ切ってしまったオリビアがベンチに横になると、シルバーは辺りを警戒してオリビアに身を寄せる。

そしてうとうとしてしまったオリビアが眠ってしまった時――


シルバーがふと空を見上げた。

空には、大きくて真っ白な月。


――動きを止めて瞬きひとつせずに月を見上げるシルバーの身体が淡く白い光に包まれた。

光は大きく伸び縮みをしながらだんだん形を変えて、人型になった。


「おり……び、あ……」


銀色のさらさらの髪に、男にしては大きくて活発そうな銀色の瞳…

真っ白な肌とすらりと細い肢体は人間離れしていて彫像のように美しい。


口角が少し上がった謎の青年は、オリビアの名を呼んで顔を近付けると――頬ずりをした。



「僕……オリビアを守る……」


「………ん…」



謎の青年…いや、シルバーはオリビアの頬をぺろぺろ舐めてまた頬ずりをした。