胸が熱い。
何かがざわざわして、血潮が急激な速さで身体を巡っているのがわかる。
「シルバー…脚よ。わかった?」
「わんわん!わぅっ」
巨人は巨体故に動きが遅い。
しかも股の下はがら空きなので、オリビアは絶対上を見上げずに脚だけを攻撃しようと決めて、針のような剛毛が生えている脚目がけて何度も剣を振るった。
ジェラールの剣は重たかったが巨人の身体を鋭く切り裂いて緑色の血を噴きださせる。
その度に巨人の苦痛の咆哮と会場からの歓声が沸いてオリビアを鼓舞させた。
何よりもシルバーの働きぶりが素晴らしい。
時々巨人を見上げてからかうように吠えては素早く足元に滑り込んで噛みつき、脚が傷だらけになった巨人はとうとう倒れ込んで呻き声を上げた。
チャンスと見たオリビアが巨人に近付こうとすると、シルバーが何故かそれを嫌がっていやいやと首を振る。
「シルバー、あれを倒さなくちゃ。ほら、行こ」
「きゅぅん……ゎん」
主には絶対服従。
嫌な予感がするので本当は行きたくなかったのだが、オリビアの命令を受けて手足をばたばたさせてうごめいている巨人に近寄ったシルバーは、巨人の大きな目がぎらりと光ったのを見逃さなかった。
巨体に見合わない素早さで巨人の右腕が動いたかと思うと、オリビアを乗せたまま身体を鷲掴みにされたシルバーはものすごい力で締め上げられて口から泡を吹いて悶絶する。
「シルバー!」
ぶんぶん振り回して勢いをつけて壁に叩き付けようとしているのだとわかった。
今までずっと守ってきてくれたシルバーが殺されてしまう――
再びオリビアの胸の奥が熱くなり、ほとんど無意識に剣を振り上げて巨人の左目に投じたジェラールの剣は、見事に突き刺さって咆哮を上げさせた。
あまりの痛みに顔を抑えて呻く巨人から解放されたシルバーは、オリビアを落とさずにいれたことに安堵しつつまた距離を取って巨人を観察する。
脚も目もずたずたになっているが、まだ動いている。
シルバーは巨人が人を食っているのを見ていた。
絶対に絶対に、オリビアには同じ目に遭わさせない――
「ぐるるるる……」
天狼の身体から青白い光が立ち上る。
何かがざわざわして、血潮が急激な速さで身体を巡っているのがわかる。
「シルバー…脚よ。わかった?」
「わんわん!わぅっ」
巨人は巨体故に動きが遅い。
しかも股の下はがら空きなので、オリビアは絶対上を見上げずに脚だけを攻撃しようと決めて、針のような剛毛が生えている脚目がけて何度も剣を振るった。
ジェラールの剣は重たかったが巨人の身体を鋭く切り裂いて緑色の血を噴きださせる。
その度に巨人の苦痛の咆哮と会場からの歓声が沸いてオリビアを鼓舞させた。
何よりもシルバーの働きぶりが素晴らしい。
時々巨人を見上げてからかうように吠えては素早く足元に滑り込んで噛みつき、脚が傷だらけになった巨人はとうとう倒れ込んで呻き声を上げた。
チャンスと見たオリビアが巨人に近付こうとすると、シルバーが何故かそれを嫌がっていやいやと首を振る。
「シルバー、あれを倒さなくちゃ。ほら、行こ」
「きゅぅん……ゎん」
主には絶対服従。
嫌な予感がするので本当は行きたくなかったのだが、オリビアの命令を受けて手足をばたばたさせてうごめいている巨人に近寄ったシルバーは、巨人の大きな目がぎらりと光ったのを見逃さなかった。
巨体に見合わない素早さで巨人の右腕が動いたかと思うと、オリビアを乗せたまま身体を鷲掴みにされたシルバーはものすごい力で締め上げられて口から泡を吹いて悶絶する。
「シルバー!」
ぶんぶん振り回して勢いをつけて壁に叩き付けようとしているのだとわかった。
今までずっと守ってきてくれたシルバーが殺されてしまう――
再びオリビアの胸の奥が熱くなり、ほとんど無意識に剣を振り上げて巨人の左目に投じたジェラールの剣は、見事に突き刺さって咆哮を上げさせた。
あまりの痛みに顔を抑えて呻く巨人から解放されたシルバーは、オリビアを落とさずにいれたことに安堵しつつまた距離を取って巨人を観察する。
脚も目もずたずたになっているが、まだ動いている。
シルバーは巨人が人を食っているのを見ていた。
絶対に絶対に、オリビアには同じ目に遭わさせない――
「ぐるるるる……」
天狼の身体から青白い光が立ち上る。

