ジェラールとオリビアを一瞬のうちに天秤にかけた結果、ジェラールが上回る――
だがその選択をも激しく悔いたルーサーは、無防備なままだらりを両腕を提げてウェルシュを蔑んでいるジェラールの肩を引いて後ろに下がらせる。
「兄上…こんなことはしたくありません。剣を収めてリヴィをこちらに」
「うるさいお前に指図されるのは不愉快だ!妾の子の分際で…!しかも……」
背中側から腕で首を絞められて動くことができないオリビアは、ウェルシュに触られて吐き気を催しつつも勝ち誇った表情のウェルシュの言葉に耳を傾ける。
…大切な人の話をしようとしているから。
「それにお前はあの薄汚くて隔絶された奴らの中から選ばれた奴隷の子。同じ王族を名乗っているだけで俺は虫唾が走っていたんだ!」
――薄汚くて隔絶された奴らの中から選ばれた奴隷の子。
オリビアはその意味を必死に頭の中で考えた。
だが頭が混乱していて答えを導き出すことができず、ただただ表情が明らかに一変したルーサーをひたすら見つめた。
…冷たく凍り付いたルーサーの美貌。
いつも笑みを絶やさない人なのに、まるで氷で作られた仮面を被っているかのようにぴくりとも動かない表情。
「ルー…サー……」
「…そうですか。そうですね、僕の母は兄上やジェラールの母上とは違う。ですが戯れとはいえ父上が僕の母をいっときは寵愛していたのは確かです。僕のことはいくら卑下しても構いませんが…母上を愚弄するのはやめて下さい。あなたの胸に剣を突き立てたくなる」
殺気を纏ったルーサーは、今までのルーサーとは違う。
オリビアは首に回っている太い腕からなんとか逃れようともがきながら、どうしても聞かなければならないことを叫んだ。
「ローレンの王たちをどうしたの?!あなたが殺したの!?」
「ああ俺が命令して殺してやった!それがどうした!」
…聞かなければよかった、と思った。
だがすでに後の祭り。
ルーサー同様心が凍りついたオリビアは、ぽろぽろと涙を零しながらウェルシュの太い腕に思いきり噛みついた。
だがその選択をも激しく悔いたルーサーは、無防備なままだらりを両腕を提げてウェルシュを蔑んでいるジェラールの肩を引いて後ろに下がらせる。
「兄上…こんなことはしたくありません。剣を収めてリヴィをこちらに」
「うるさいお前に指図されるのは不愉快だ!妾の子の分際で…!しかも……」
背中側から腕で首を絞められて動くことができないオリビアは、ウェルシュに触られて吐き気を催しつつも勝ち誇った表情のウェルシュの言葉に耳を傾ける。
…大切な人の話をしようとしているから。
「それにお前はあの薄汚くて隔絶された奴らの中から選ばれた奴隷の子。同じ王族を名乗っているだけで俺は虫唾が走っていたんだ!」
――薄汚くて隔絶された奴らの中から選ばれた奴隷の子。
オリビアはその意味を必死に頭の中で考えた。
だが頭が混乱していて答えを導き出すことができず、ただただ表情が明らかに一変したルーサーをひたすら見つめた。
…冷たく凍り付いたルーサーの美貌。
いつも笑みを絶やさない人なのに、まるで氷で作られた仮面を被っているかのようにぴくりとも動かない表情。
「ルー…サー……」
「…そうですか。そうですね、僕の母は兄上やジェラールの母上とは違う。ですが戯れとはいえ父上が僕の母をいっときは寵愛していたのは確かです。僕のことはいくら卑下しても構いませんが…母上を愚弄するのはやめて下さい。あなたの胸に剣を突き立てたくなる」
殺気を纏ったルーサーは、今までのルーサーとは違う。
オリビアは首に回っている太い腕からなんとか逃れようともがきながら、どうしても聞かなければならないことを叫んだ。
「ローレンの王たちをどうしたの?!あなたが殺したの!?」
「ああ俺が命令して殺してやった!それがどうした!」
…聞かなければよかった、と思った。
だがすでに後の祭り。
ルーサー同様心が凍りついたオリビアは、ぽろぽろと涙を零しながらウェルシュの太い腕に思いきり噛みついた。

