冷たいアナタの愛し方

2階から降りてきたルーサーを笑顔で迎えたオリビアは、主の機嫌が戻って尻尾を振りまくるシルバーの首を抱えて落ち着けさせるとソファを指した。


「ルーサー、座って。お茶くらい淹れられるから」


「あ、そういえば君にプレゼントがあるんだ。すぐ戻って来るからその間にお茶を淹れててくれる?」


「ええ、わかったわ」


プレゼントと聞いてさらに瞳を輝かせたオリビアが可愛らしく、ルーサーが笑いながら離宮を離れると、オリビアはぴょんぴょん跳ねて喜びを爆発させた。


「ねえ聞いたっ?私にプレゼントだって!」


「わふわふっ」


どきどきわくわくしながらキッチンに立ってお茶を沸かしていると、2階からジェラールが降りてきたが、ご機嫌のオリビアはジェラールに笑顔を向けてフリーズさせた。


「な…なんだ?」


「ついでにお茶を淹れてあげる。ルーサーはすぐ戻ってくるらしいわ」


オリビアを怒らせると痛烈な皮肉が返ってくることを学習したジェラールは、銀色の前髪をかき上げながら無言でソファに座ったが…すぐさまシルバーにまとわりつかれる。

遊んでと目で訴えかけてくる天狼の腹の辺りを撫でてやるとごろんと横になり、可愛らしく両の前脚を折り曲げてくねくねする。

つい夢中になってふかふかの腹を触りまくっていると、オリビアが笑いながらテーブルに紅茶を置いた。


「良かったわねシルバー。嬉しい?もっと遊んでもらう?」


「わん!くふっ、くふくふっ」


ジェラールがオリビアに少しだけ微笑を見せると、オリビアからも微笑が返ってきた。

以前ルーサーに“優しくすれば優しい反応が返ってくるが、毒を吐けば毒が返ってくる”と言っていたことを思い出したジェラールは、砂糖が入った壺を引き寄せると訊ねた。


「何個だ」


「1個でいいわ、ありがとう」


…感謝も言われて動揺したジェラールが目を泳がせていると、オリビアはジェラールの銀色の髪を見つめて太股に顎を乗せてきたシルバーの頭を撫でながら疑問を口にする。


「あなたは金髪だって聞いたけど…どうして銀色なの?」


「わからない。ウェルシュの腰巾着に刺された時に痛みに苦しんだ。恐らくそれが理由で…」


「…大変だったのね。命が助かってよかったわ」


優しいオリビア。

違う一面を見たジェラールはただただ動揺して、砂糖を入れるのを忘れて紅茶を一気に飲み干した。