オリビアが腕の中に――
ルーサーは背中に突き刺さってくるジェラールの視線を感じて、オリビアの身体に回そうとした手を止めてぽんぽんと頭を撫でた。
「間一髪だったかな?離宮から出ると危ないよって言ったでしょ?」
「…危なくなんかなかったわ。脚を掴まれてちょっと驚いただけよ」
「ジェラールにルーサー、お前たちは俺に口出しをするな。俺は父王の理想を継いで大帝国を築き上げる男だぞ。王位継承式の準備も着々と進行しているしな。わははは!」
まん丸な身体を踏ん反り返しながらウェルシュが高笑いをした。
オリビアは離れ難くもルーサーから離れると、ようやくジェラールの存在に気付く。
腕組みをしてさも不満ですと体現しているジェラールに睨みを利かせたオリビアは、時折ものすごい唸り声を上げてウェルシュを威嚇しているシルバーに駆け寄って耳の付け根を撫でた。
「シルバー、もういいわ。私なら大丈夫だから」
「きゅぅん…」
「それにウェルシュ…王子?」
「な、なんだ?!」
急に猫撫で声を出してにっこり笑ったオリビアにぽうっとなって真っ赤な顔をしたウェルシュが声を上ずらせると、オリビアは女優になりきってウェルシュの前に立ち、猫の喉をくすぐるようにしてウェルシュの顎をこちょこちょと指でくすぐって囁いた。
「今度あなたにこっそり会いに行くわ。ルーサー王子やジェラール王子には秘密よ。いいわね?」
「う、う、うむ!ようやく俺の魅力に気が付いたか!」
馬鹿丸出しのウェルシュの態度に自分もなかなかの女優魂じゃないかと自信を持ったオリビアはくるりと身を翻してルーサーの隣に駆け寄る。
…先程は取り乱してしまったが、微笑を浮かべているルーサーに安心しきったオリビアがほっとした顔をしていることについて――ジェラールの機嫌は限りなく下降していくのだった。
ルーサーは背中に突き刺さってくるジェラールの視線を感じて、オリビアの身体に回そうとした手を止めてぽんぽんと頭を撫でた。
「間一髪だったかな?離宮から出ると危ないよって言ったでしょ?」
「…危なくなんかなかったわ。脚を掴まれてちょっと驚いただけよ」
「ジェラールにルーサー、お前たちは俺に口出しをするな。俺は父王の理想を継いで大帝国を築き上げる男だぞ。王位継承式の準備も着々と進行しているしな。わははは!」
まん丸な身体を踏ん反り返しながらウェルシュが高笑いをした。
オリビアは離れ難くもルーサーから離れると、ようやくジェラールの存在に気付く。
腕組みをしてさも不満ですと体現しているジェラールに睨みを利かせたオリビアは、時折ものすごい唸り声を上げてウェルシュを威嚇しているシルバーに駆け寄って耳の付け根を撫でた。
「シルバー、もういいわ。私なら大丈夫だから」
「きゅぅん…」
「それにウェルシュ…王子?」
「な、なんだ?!」
急に猫撫で声を出してにっこり笑ったオリビアにぽうっとなって真っ赤な顔をしたウェルシュが声を上ずらせると、オリビアは女優になりきってウェルシュの前に立ち、猫の喉をくすぐるようにしてウェルシュの顎をこちょこちょと指でくすぐって囁いた。
「今度あなたにこっそり会いに行くわ。ルーサー王子やジェラール王子には秘密よ。いいわね?」
「う、う、うむ!ようやく俺の魅力に気が付いたか!」
馬鹿丸出しのウェルシュの態度に自分もなかなかの女優魂じゃないかと自信を持ったオリビアはくるりと身を翻してルーサーの隣に駆け寄る。
…先程は取り乱してしまったが、微笑を浮かべているルーサーに安心しきったオリビアがほっとした顔をしていることについて――ジェラールの機嫌は限りなく下降していくのだった。

