冷たいアナタの愛し方

「どう?美味しかったでしょ?」


コーンの粒ひとつも残さずに完食したジェラールの前に座って期待に瞳を輝かせながらオリビアが問うと、ジェラールはスプーンをことんと置いて少し考え込んだ後…


「給仕係の作った方が美味い。お前のは100点満点中70点だ」


「嘘!パンだってハムだって全部食べたじゃない!」


「スープ以外全部焼いただけだろうが。それが料理だとでも言いたいのか?」


その場でだんだんと地団太を踏んだオリビアは、憤然として皿を重ねてキッチンに持って行くと、ジェラールの声が聞き取れないほどの水量で皿を洗い始める。


「せっかく一生懸命作ったのに!…ルーサーだったら絶対誉めてくれるのに…」


どうしてこの男はここまで冷たくするのだろうか。

自分の態度も問題だろうが、7年前のジェラールはもうちょっと優しかったはずだ。


涙ぐんだオリビアが鼻を鳴らすと、それに気付いたジェラールは少しだけ反省をして椅子から立ち上がり、オリビアの髪をくいっと引っ張った。


「おい」


「…何よ、引っ張んないで。もう私料理なんか絶対しないわ。今夜からあなたはお城の方で食べて。それかルーサーに作ってもらって」


意固地になって振り向かないオリビアの髪をもう1度引っ張ったジェラールは、オリビアの顔を覗き込んで涙ぐんでいるのを見てしまうと、つきんと心が痛んで艶やかな髪を離す。


「不味いとは言ってない」


「でも料理じゃないって言ったわ。もういいから話しかけないで。給仕係の皆に今夜からあなたがお城の方で食べるって伝えておくから。料理なんて呼べないものを作ってすみませんでした、ジェラール坊ちゃん」


「……」


完全にオリビアを怒らせてしまってしまったジェラールは、すごすごとまた椅子に座って頬杖を突きながらも密かに頭を抱えていた。

怒らせるつもりではなかったのだが…どうにもオリビアに悪態を突いてしまうのを止められない。


今目の前に居るリヴィという名の女奴隷がオリビアであることに全く気付いていないジェラールは、奴隷にしては勿体ない美貌のオリビアを無意識のうちにどうにか振り向かせてやろうと躍起になった結果――

完全に墓穴を掘ってしまっていることにも、全く気付いていなかった。