冷たいアナタの愛し方

嫌々ながらもメイド服を装備したオリビアは、2階へ上がるとベッドで読書をしていたジェラールにずいっと手を差し出した。


「食材を貰いに行くから鍵を貸して」


「外に出るとウェルシュに襲われるぞ」


「シルバーが居るから平気よ。あなたに絶対美味しいって言わせてみせるんだから!」


鍵を渡すまでてこでも動かない態度で迫ってくるオリビアに仕方なく鍵を差し出して、オリビアが受け取ろうとした瞬間手を引っ込めた。


「何よ…貸してよ」


「毒なんか入れても無駄だぞ。大抵の毒には耐性があるからな」


「あなたを殺して私に何の得があるっていうの?心配で不安なら私が毒味してもいいわよ、ジェラール坊ちゃん」


「…早く行け」


ぽいっと鍵を投げられてそれを空中で受け止めたオリビアは舌を出して馬鹿にすると、シルバーを先に離宮から出してウェルシュ捜しをさせた。

吠えることもなくすぐにシルバーが戻って来たので安心して外に出たはいいものの、小走りに城を目指して鍵を開けると、まっしぐらに地下を目指して階段を駆け下りる。

まだ早朝だったので、キッチンで仕込みをしていたレティを見つけたオリビアは、驚かせるために背後に忍び寄って耳元で大声を出した。


「わっ」


「きゃっ!?ちょ…オリビア様!?ずっと戻って来ないから心配してたんですよ!?」


すぐさま腕を掴まれて冷蔵室に連れて行かれてふたりきりになると、レティに怒られて肩を竦めたオリビアは経緯を簡単に話して籠を差し出した。


「食料を分けてほしいの。卵とハムとチーズとパンと…」


「ジェラール様用ですよね?それだとコーンスープがお好きなのでレシピを書いてお渡しします。この通りに作れば大丈夫ですから」


「本当に?私…あなたが思っているより不器用よ?」


「そんなの知ってますよ、ジェラール様はこれさえ作ればご機嫌なんです。頑張ってくださいね」


最初から味方で応援してくれていたレティに励まされてさらに気合いを入れたオリビアは、レシピとコーンスープの材料を貰うと背中に乗ってもらおうとしきりに首を下げるシルバーの背中を撫でてやりながらジェラールの離宮へと戻って行く。


「ルーサーも食べに来ないかな…」


考えるのは、あの人のことばかり。