冷たいアナタの愛し方

オリビアに強烈なビンタを食らわされたジェラールは、かなり時間が経った後にじんじんと痛む左頬を手で押さえてぽつり。


「あの女…俺を叩くとはいい度胸じゃないか。俺に手を挙げた女はあいつがはじめてだ」


怒りよりも興味が勝る。

どこかあの少女を彷彿とさせる女奴隷に興味を持ってしまったジェラールは、腹部の傷が痛んで顔をしかめながらも離宮に戻ってドアを開けた。


「遅かったね、寄り道?」


「あの女奴隷は?どこに行った?」


「彼女は奴隷だから、どこか掃除してるんじゃないかな。…どうしたの、何かされて怒られたとか?」


鋭い観察眼を持つルーサーが本から顔を上げると、ジェラールはいらいらしながら室内を見て回り、バスルームの掃除をしているオリビアを見つけて腕を掴む。


「ちょっと!触らないでよ!」


「なんで俺を叩いたんだ。奴隷が王族に手を挙げるなんて暴挙以外の何物でもないぞ」


「はあ?あなたが私の髪を引っ張ったり手を出したとか嘘をついたからでしょ!第一そんな事実ないんだからやめてよね!」


スポンジで壁を磨きまくりながらぷんぷんしているオリビアに手を振り払われたジェラールは、再びオリビアの長い髪を引っ張って顔を無理矢理自分の方に向かせた。


「お前がその気なら抱いてやってもいい」


「…はあ?あなた…馬鹿にも程があるわね。あなたに何かされるくらいなら舌を噛み切って死んでやるから」


――誘いを断れたのもはじめてで、また怒りよりも興味が勝ったジェラールはじっと上目遣いで見つめてくるシルバーの頭を撫でてバスルームから出る。


「バスルームから怒鳴り声が聞こえたんだけど」


「あの女……しばらく傍に置いてやってもいい。俺が飽きるまでの話だが」


「あ、そう?じゃあ、あまり怒らせないように気を付けてね」


…ルーサーの深意もわからない。

ジェラールは2階に戻ってシャツを着替えながら意地悪気な笑みを浮かべていた。