冷たいアナタの愛し方

ふりふりフリルのメイド服姿で部屋の掃除をしているオリビアは…はっきり言って、目の毒だ。

ルーサーもジェラールも健康な男なので、オリビアがちょっとしゃがんだりすると慌てて目を逸らしたりで大慌て。

気付いていないオリビアは雑巾や箒を手にあちこち動き回るので、とうとうジェラールがルーサーに苦情を申し立てた。


「気が散る」


「え、なんのこと?」


「気が散る。…さっきスカートの中が見えたぞ」


「それは美味しい思いをしたねえ。君があの格好でいろって言ったんでしょ。ウェルシュがメイド服姿のオリビアを見たらどうなるかなあ。すぐさま野獣になっちゃうかもね」


唇を真一文字に引き結んで不機嫌丸出しの顔をしているジェラールをにやにやしながら出窓に腰かけたルーサーは、2階に上がってきたオリビアに笑顔を向けた。


「どうしたの?」


「馬のお世話をしてくるわ。鍵を貸してくれたらひとりで行けるんだけど」


「駄目だよ、外にはウェルシュが…」


「…俺が行く。身体を動かさないと鈍ってしまう」


ジェラールの傷は完治していない。

だが若い故に回復の速度は速く、ベッドから起き上がると亡き父から受け継いだ剣を握って、しっかりと立った。


「あなたは寝てなさいよね。私ならひとりで…」


「お前はウェルシュを舐め切り過ぎだ。あれは女に見境がない。恐ろしい目に遭ってもいいのか?」


酒樽に襲われる想像をしてみたオリビアがぞっと身体を震わせると、ジェラールは黒いジャケットを羽織って先に1階へ降りて行った。


「歩かせてもいいの?」


「いいんじゃないかな、剣の腕は確かだから護衛にはなると思うよ。オリビア…いざという時にも覇王剣を…リヴィを出しちゃいけないよ。わかった?」


「ええ。じゃあ行ってきます」


1階へ降りたオリビアは、遊んでくれるものと思ってジェラールの回りをぐるぐるしているシルバーの首根っこをぎゅっと握って落ち着かせると、耳にキスをして命令をした。


「ジェラールを守ってあげてね。こんなんじゃいつ倒れてもおかしくないから」


「ふざけたことを言うな。俺が何か国落としてきたと思っているんだ」


銀髪を揺らめかせて出て行ったジェラールの後を追ったオリビアは、さっそく出くわした酒樽に大きなため息をついた。


「お、お、お、お前!なんだその格好!そそるぞ!」


「…馬鹿ばっかり」