「変な事聞いたな。悪い」

「……全くだ」

「とりあえず、寝ろ」

「結局それか……今は本当に最悪だし、寝てやるよ」


真幸はその言葉に今度は従った。漸く落ち着きを取り戻せそうなタイミングで、またそれがぶり返されてしまったからだろう。

メガネを外して近くの台へ置き、由陽に背を向けてからゆっくりと目を閉じた。


「おやすみ」


由陽は真幸の背中に小さくそう呟いた。

真幸が目を覚ました時には、既に下校時間まで残り一時間となっていた。

監視をしていると言って横にいた由陽の姿はそこにはない。

代わりに不在であった保健医が戻ってきているような気配を真幸は感じ取った。