「此処を開けてくれ」
と。恐怖がまだ拭いきれていないのか、真幸はあっさりとさっきまでの態度から一変し、素直にU字ロックを外し、由陽を招き入れた。
自分の失態を見られた事や、玄関にずっといさせるのも悪いと思ったのか、そのまま自室へと誘導し、
暫くの間互いに何も喋らず沈黙が続き、真幸は落ち着いて来たのか、
まずは一言由陽に“変な姿を見せてすまなかった”と一言詫びを入れる。
だが由陽は特に気にする素振りもなく、本来の目的である連絡プリントを届けるという役目を果たした。
「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だからもういい。帰れ」
まだ少し弱弱しい感じではあったが、徐々に真幸は落ち着きを取り戻しつつある。
自分で招き入れておいてそれはないだろう、と由陽は思ったが精神が弱っている今の真幸には言う言葉ではないと判断し、
そっと胸の中にしまった。
「……よく今まで普段通りに生活出来ていたな?
サイレンなんてそう毎日聞くようなものでもないけど」
「耐えることには慣れているからな」
「ふうん? でもそれってキツくないか? 俺で良ければなんかの支えになるけど」
「別に。なんかの支えって何だよ。くだらない。
ほら、さっさと帰れ……これ以上、こんな姿見せていられるか、ってんだ……」
真幸は半ば強引に由陽を自室から締め出した。
由陽は再び入ろうとしたが、鍵を閉められて入る事も出来ない。
と。恐怖がまだ拭いきれていないのか、真幸はあっさりとさっきまでの態度から一変し、素直にU字ロックを外し、由陽を招き入れた。
自分の失態を見られた事や、玄関にずっといさせるのも悪いと思ったのか、そのまま自室へと誘導し、
暫くの間互いに何も喋らず沈黙が続き、真幸は落ち着いて来たのか、
まずは一言由陽に“変な姿を見せてすまなかった”と一言詫びを入れる。
だが由陽は特に気にする素振りもなく、本来の目的である連絡プリントを届けるという役目を果たした。
「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だからもういい。帰れ」
まだ少し弱弱しい感じではあったが、徐々に真幸は落ち着きを取り戻しつつある。
自分で招き入れておいてそれはないだろう、と由陽は思ったが精神が弱っている今の真幸には言う言葉ではないと判断し、
そっと胸の中にしまった。
「……よく今まで普段通りに生活出来ていたな?
サイレンなんてそう毎日聞くようなものでもないけど」
「耐えることには慣れているからな」
「ふうん? でもそれってキツくないか? 俺で良ければなんかの支えになるけど」
「別に。なんかの支えって何だよ。くだらない。
ほら、さっさと帰れ……これ以上、こんな姿見せていられるか、ってんだ……」
真幸は半ば強引に由陽を自室から締め出した。
由陽は再び入ろうとしたが、鍵を閉められて入る事も出来ない。


