身を起こしメガネをかけ、腕時計を見て時間を確認し、初めて自分が随分長く寝ていた事に気付く。

慌ててベッドから降り、一時間でも良いから授業に出ようとしたが、それを止めたのは保健医だった。


「ああ、起きたの? 寝不足だったのかな? どうせもうすぐ終わるんだし、帰ったら? 荷物もほら、もうあるし」

「え?」


保健医の視線を追うと、テーブルの上には確かに自分のカバンが置かれていた。

一体誰がやったのだろうかと問いかける前に、保健医はその答えを真幸に告げる。


「ついさっきかな? 一之瀬くんが置きに来たんだよ」

余計な事を……と真幸は感じた。カバンが持って来られているからと言って、このまま素直に帰る訳にもいかない。

そうしてしまうことが自分の中で許す事が出来なかったからだ。


「帰りませんから」

「そう、そうするならそれでもいいけど。寝癖とよだれの痕をつけたままで恥ずかしくなければね」

「なっ」