し あ わ せ の う た

中学に入学してから、もうすぐ2ヶ月―――6月になろうとしていた。


そして、あのことから3ヶ月がたつ。


今の君は、新しい彼女もできていっつも笑ってる。


私は君のことで頭がいっぱいなのに、君は他の人のこと考えてるんだ。

 
あのことさえ無ければ、今はこんな苦しみを味わわなくて済んだかもしれない。


そう、あのこと――――――


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「悠季っ。今日は映画、楽しかったね!」

「汐莉が喜んでくれたなら・・・よかった」

「また、来ようね」

「ああ。また、2人で・・・な」

「あたしね、今度は見たい映画があ・・・」

「汐莉!危ない!」

「・・・え?」

 キキーーーーーッッ!ドンッ!

「うっ・・・」

「悠季・・・?悠季!?」

 ピーポーピーポー・・・


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あれ以来、親同士は仲が悪くなって、悠季とも話せていない。



あのことを思い出すと、涙が出てくる。人生で1番、嫌な思い出。


「・・・っ・・・。」


本当に泣きそうになってしまい、机に顔を伏せた。


朝日が顔に当たって眩しいのは我慢して、皆に見られないように顔を左に向けた。


「汐莉~。おはよー。」


何分か経って、友達の萌々香が来た。


「・・・おはよう、萌々香。」

 
なんとなくのあいさつを交わした。


萌々香は小学校からのいわゆる親友で、あたしの過去も知っている。


「汐莉おはぁ。何か暗くなぁい?」

 
続いて来たのが、中学で友達になった美夜。


「おはよ・・・。うん、今そういう気分じゃない」


「汐莉ー・・・。悠季くんはあくまで元彼だよ?ちょっと引きずりすぎじゃない?」


元彼・・・。やっぱそうだよね。


もう悠季はあたしのこと、少しも思ってくれてないのかな。


あたしまだ、悠季大好きなのに。


「美夜は羨ましいけどなぁ、汐莉のこと。汐莉一途じゃん。別に引きずってるわけでもないでしょ?」
 

美夜はいつも、こう言ってあたしを励ましてくれた。


でも美夜・・・あたしは引きずってるんだ。


「もうすぐ、HRだね。じゃあ、汐莉またあとでね」
 

無言だった3人の会話が、美夜の声で途切れた。


「うん、バイバイ」 


「汐莉・・・引きずってるとか言ってごめんね」
 

これにはびっくりした。


まさか萌々香が謝ってくるとは・・・。


「ううん、本当のことだから。はっきりしないあたしが悪いから、萌々香は気にしないで」


「じゃあ、またあとでね」
 

やっぱずっと一緒にいた萌々香だから、あたしの本当の気持ち分かってるんだ。


そして、HRが始まった。