「心全町を汚す不届き者は成敗するのみ!」
そう叫んだ赤マントは俺の幼なじみの中原千晴。
決めたことには一直線で猪にも負けず劣らずのまさに猪突猛進を実体化したような人物である。
一度決めたことは決して曲げず、大体のしわ寄せが俺にくる。解せぬ。

「愛と正義だけが友達?…ふふふ、僕には愛と正義に友達になってもらう資格なんてないぼろ雑巾だよ…」
自分をぼろ雑巾扱いをした青マントは早苗春樹。
負のオーラを放つ彼はクラスメートで俺の隣の席になったのが運のつきか千晴に巻き込まれてしまった可哀想なやつである。
言ってる言葉からわかるように超ネガティブ思考である。大丈夫か。

「きゃわわん!酷いことする人なんて許さないんだから☆」
ぷりぷりきゃぴピーン☆とかよくわからないこと言っているピンクのマントは有栖川桜子。
きっと彼女はあれだ。住む世界を間違えたんだ。
頭の中がお花畑な彼女は千晴が寝坊してパンをくわえて走ってたら曲がり角でぶつかり知り合ったらしい。どこの少女漫画だよ。

「…うっ!右手が疼いてやがる…ッ!さっさと謝んねえとお前を漆黒へ突き落とすぜ…!」
なんかこじらせちゃってる黒マントは黒江晃。
入学式から家に帰る途中で倒れているこいつを無視すればよかった。慌てて「大丈夫ですか!?」と声を掛けると「ふふふっ。遂に見つけたダークスピリチュアル・ブラックサンダーディスティニー組織の幹部の者だろ!」となんか絡まれた。とりあえずその組織黒いのか白いのかはっきりさせてくれ…とつっこんで放置した。そして制服から近くの高校であることを知ったらしい彼は翌日俺の前に現れ、千晴と意気投合していた。勘弁してくれ。

そして俺、中村達彦は、
「…まあ、とにかく5人そろって…」
「「「「「心全町を守るンジャー!!!!」」」」」千晴に巻き込まれて心全町守るンジャーというどう考えても罰ゲームな戦隊の緑として今日も元気にツッコミしてます。


「………帰りたい…」
それが今一番の願いです。