俺様彼氏とあたし様。

来ない?



来る。



日向はきっと来る。



ドレスとコートだけじゃ2月の夜には寒すぎる…。



手が冷たくて顔が冷たくて…。



寒過ぎて頭が痛い…。



手の中で鳴り出す携帯。



「はいは~い」

「どこ…いんだよ…」



息切れしてる日向の声に泣きそうになった。



探してくれてる…。



「教えないよ。王子様はお姫様を迎えに来るのが基本でしょ」

「バカか…ヒントは?」

「暗くて寒くて、街灯が1つしかない所。マジ凍え死にそう…。早く見つけてよ」

「はぁはぁはぁ…。あっ、イイ女発見。ナンパしてくるからじゃあな」



ナンパ!?



あたしをこんなとこに一人残してナンパ!?



アイツぶっ殺す!!



「こんなとこで何してんの?」

「ヒナっ…」

「今から予定ある?あ、もしかして彼氏と待ち合わせ?」

「マジで来たし…」



日向の顔を見たら急に涙が込み上げて来た。