「とにかく下に降りましょう。」



「……はい…。」



「なぜ敬語なんですか?」



「いやなんとなく。」



「何か気になりますね…。」




まぁいいですけど。とだけ言って、翔は先に階段を降りていく。




「ばーか。」




絶対聞こえないくらいの小さな声で呟く。しかし、翔の肩が動いた。




「……聞こえてますよ。」




そう言われれば、階段を滑り落ちそうになった。



翔はそのままふふ、と笑ってカン、カンと足音を立てて階段を降りきると、振り返った。




「まずは、挨拶して頂きますから。考えてくださいよ、







一分で。」



「鬼畜か!!」



「…………。」



「いや、何も…」



言ってないです……と小さな声で呟く。



「もうあと30秒ですよ。」


「……。」



本気で鬼畜だ、コイツは……



翔の背中をただ強く睨んだ。