『………………。』





誰も口を開かないまま時間だけが過ぎる。





きっとそれはほんの数分のことなのに、何十分にも何時間にも感じられた。





「あの男は…お前の"何"なんだ?」





やがて、重々しく口を開いた慧があたしを見つめた。





「アイツは……」





顔を伏せて、覚悟を決めたように顔を上げた。



沈黙は嫌だ。でも、話すのも、聞かれるのも嫌なの。



馬鹿みたいにそんなことを考えながらあたしは口を開いた。





「アイツはね…元神崎 龍騎、元あたしの兄だよ…。」



「「え……?」」





明確に話さないあたしに慧が舌打ちを溢した。





無駄に時間を稼ごうとする自分が一番惨めに感じる。