――――――side―







「クスッ」



「どうしましたか、御主人様。」



「いや、なんでもないよ。」





黒いスーツ。皮ぬりのソファー。





御主人様と呼ばれる彼の言葉には、自嘲のようなものが混ざっていて。





彼は誰かを嘲笑うように、それでいて、自身も傷ついたように…





彼は一言、言葉を溢した。





「お前がいけないんだよ。お前が俺の妹だから。」





彼の言葉に、彼を御主人様、と呼んだ男は少し肩を揺らした。





「もうすぐ会えるよ。」














「待ってろよ…愛しい我が妹、結衣。」






名前を呼ぶその声は、愛しそうな甘い響きを含んだ…悪魔の囁きだった。