―――――― ――――――――――― 「結衣。手合わせしていただけますか。」 あたしはぼーっと幹部部屋に続く階段に座り込んで下を向いていた。 そこに声をかけてきたのは翔だった。 「ふっ。いいよ。やろうか。」 あたしが立ち上がると、翔の眼鏡の奥が光った気がした。 だから、あたしは探られないようにわざと明るく振る舞った。 「くっ。はぁはぁ…」 開始5分で、息を乱し始めたのは翔で。 いつのまにか集まった下っぱたちが、あたしと翔を取り囲むようにして観戦している。 「よそ見してんじゃねぇっ。」