実乃里 side



「どうぞあがって…」

「はい…お邪魔します」


家の中に入れてくれる裕一郎さん。

私は広い玄関で、雪でびちょびちょに濡れたブーツを脱いだ。




やっと…裕一郎さんに会えた…

良かった。



「実乃里ちゃん」




すると玄関で靴を脱ぎ、先に家に入る裕一郎さんが私を呼ぶ。




「着替えてくるから…ゲストルームで待っててくれるかな?」

「はい」

「南朋。ゲストルームに案内して。あと実乃里ちゃんに着替えを出してあげなさい」



げ。


裕一郎さんは、さっきのムカつくあの男にそう言った。

男は「わかった」と言って、玄関でコートについた雪を払っている…