実乃里side


裕一郎さんが、私たちがいる部屋に入ってくる。



もしかして、キスしてたのとか見られたかな…///

抱き合ってるのは、確実に見られたよね…///


いや、そんなことよりっ…




「“記憶”って……どういうことだよ?」


南朋が、裕一郎さんに問いかける。

裕一郎さんは南朋の顔をじっと見つめたあと、ゆっくりと話しはじめた。




「俺と………正忠・・つまり、実乃里ちゃんのお父さんは学生の頃からの親友だった…」


私のお父さんと裕一郎さんが…?

お母さんだけの、つながりじゃなかったんだ……




「正忠と俺は、大学を卒業後…お互いに会社を立ち上げた。親友といっても、よきライバルだった俺と正忠は、会社を成功させようと必死だったんだ…」


お父さん…会社やってたの?

そんなこと、全然知らなかった…




「けれど俺は数年で、見事に事業に失敗してね…残ったのは借金地獄。どうしようかと思ったとき、正忠が自分の会社に俺を呼んでくれたんだ」




お父さんが?