俺には買って、あいつには手作り…?


なんとも面白くない俺。

しかし、その事実を知ってしまった以上…なんだか自分の部屋に戻るのも嫌なので、

そのまま実乃里を見守ることにした。




小一時間後



「…焼けた」


手作りケーキが完成。

実乃里は型からケーキを外し、色んな角度からケーキを見ていた。




なんか、今日の実乃里…口数少ないな。

気のせいかな?




「…これが一番きれいに焼けた」




すると、実乃里がボソッとそう言った。





「…全部あいつにあげんの?」

「ううん…生地が余ったから、何個か作っただけ。これが一番きれいだから、これを虎之助にあげようと思って…」

「ふーん…じゃあ他のやつは、俺が食っていい?」

「えっ…」