「…なに作ってんの?」

「……見ればわかるでしょ」





実乃里に話しかけると、なんとも冷たい口調の返事が返ってきた。


な、なんか怒ってる…?



「わかんねえな…教えてよ」

「…チョコケーキ・・」




「バレンタインの…?」

「そう。虎之助にあげるやつ」

「・・・・」



あいつ…

久しぶりに、実乃里の口から名前が
出たな…



あいつへのバレンタイン作ってるのか…


手作りか…




俺は実乃里の手つきを見ながら、モヤモヤとした気持ちが沸いてきていた。