当時、俺は奴のこの唯一の長所を思う存分に利用していた。

ルックスはまあまあの俺も、奴の側に居ればおこぼれが・・・・・・と言うと悲しいが・・・・・・

とにかく奴といれば、女には不自由しなかった。

だから俺は卒業して2年も経つのに、会社の奴らとの付き合いはほどほどに、毎週のように週末になると悠介と会い、いそがしくナンパしまくっていた。


ところがその日、奴はその馬鹿さ故、人生の岐路に立たされてしまった。

中学時代から付き合っている有希という彼女に思い切り、見切られてしまったのだ。

いや、俺もしてみれば何を今更?と思うのだが・・・・・・有希は勿論、悠介の浮気なんてずっと前から分かっていた。

なのにそれまでは何も言わず、突如、奴に絶縁を宣言してきたのだ。